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● 濁り酒
どぶろくの語源は、濁醪(だくろう)だといいます。醪は諸味、まだ漉して
いない酉=さけを指します。
どぶろくは全国共通語ですが、ドブザケ、ニゴリと呼ぶ地方も多いです。
地域によってはダグ(青森)、ドベ(岩手)、フグロ(秋田)、ヤギ(山形)、
ドブ(富山、三重、和歌山、広島)、ドビ(鳥取)などの名があります。
ドンドン酒、これは韓国料理の店で知った呼称です。
どぶろくは生きているので、飲みごろを逃すと酸っぱくなります。
ところが寒造りと言って寒のうちに造ったのは仕上がりが格別、変味もしない
そうです。古老の話では、そのころはお百姓さんはまだ上等の米を持っている
時分ですし、表土が凍っているので湧水がきれい、つまり米も水も良いです。
だから美味になります。
どぶろくの旨さの鍵は、その濁りにあります。微細なコロイド粒子が
舌の味蕾(みらい)を刺激しうま味を引き立てるためだそうです。
味噌汁も澄んでいれば、間抜けた味になります。それと同じです。
白濁した酒を雪に見立て杯に梅花一輪浮かべて、雪見酒の趣向に
いかがでしょうか。
白馬(濁酒の別別称)に梅、「無茶」と言うなかれ、美は乱調にあり、
美味は濁りにあり。
● 卵酒
寒に旨いのは寒鰤、寒鮒、寒卵。そこで卵酒です。滋養に富み、下戸にも好まれます。
まず即席風、コップか湯飲みに卵を割り入れ溶きほぐして、熱燗の酒を
注いで混ぜます。逆に、熱燗に静かに卵を流し込んでも良いです。卵は黄身と白身が
一体になるまでよく攪拌しておくのがコツです、これを怠ると卵とじになって
しまいます。好みで砂糖を加えます。
本格的には酒と溶き卵を混ぜ(酒二合に卵一個、砂糖スプーン適量)、
小鍋に入れて火にかけ掻き混ぜる。
煮たててはいけないし、攪拌を続けないと卵がブツブツになって味良く
仕上がらないです。マッチで酒に火をつけ、パッと燃え上がったら
お仕舞いです。
お年寄りやご婦人用のアルコール分の少ない、甘い卵酒の作り方です。
小鍋に湯飲み一杯の酒と等量の水を入れ、卵一個、砂糖を多めに加えて
よく掻き混ぜてから火にかけ、アルコールを飛ばします。
甘味がポイントになりますが、カステラに似て、カステラより旨いです。
これは卵を溶かない、ちょっと変わったやり方です。
ご飯茶碗に卵を一個を割り、熱燗を静かに注いで、卵の上の液体、つまり
酒のみ啜(すす)ります。それだけです。飲んだらまた酒を注ぎ足します。
熱々の酒でないといけないし、卵を攪拌してもだめです。酒の毒を
卵が吸い、悪酔いを防ぎ、酒の味が良くなると伝えられます。
器はご飯茶碗に限るのは、酒と卵の触れる面積を広くするためと
言われると、いかにも毒気を吸収しそうな感じがするから不思議です。
白身が固まってきたら卵は捨てます。
卵とアルコールとは相性が良いのか、西洋にはブランディーエッグが
ありますし、西部劇でガンマンが決闘の前に生卵を入れたビールを飲む
シーンを見たことがあります。
● 烏賊(いか)酒
酒には鯣(するめ)が似合います。一夜干しの鯣を手に八代亜紀の「舟唄」を
口ずさみます。
「お酒はぬるめの燗がいい。肴はあぶったイカでいい。」
気分が酒をさらに旨くします。
鯣をいっそ酒器にしたら…。こんなすごい発想で作られたのが、
八戸(青森県)の名物、烏賊徳利(とっくり)です。
烏賊を壷抜きにして干して、徳利の形に加工します。
胴が徳利、耳の部分が杯になっています。熱燗を徳利に入れて
しばらく置き、温めになったころにいただきます。
鯣の甘味が酒に滲み、味がやわらかくなります。
だれが考えたのだろうか、きっと飲ん兵衛に違いないです。
何度か使った烏賊徳利も、あぶって毟(むし)れば酒の肴に
なります。肴が器か、器が肴か…。
鯣で代用も出来ます。強火であぶり、短冊型に裂いて燗酒に
入れます。即席ですが濃厚な烏賊酒になります。鯣の分量を
加減すれば、好みの味にできます。鯣に軽く塩を振っておくと、
風味が増します。これで飲めば男も女も、無口になります。
● 生姜(しょうが)酒
風邪の特効薬です。生姜をたっぷり摩りおろし、熱燗の酒に入れて飲みます。 漢方では生姜は発汗・健胃薬に用いられます。この酒は、生姜の辛みと香気が たまりません。別に風邪でなくとも、また食前、食間、食後いずれの 服用でも構いません。副作用があるとすれば、飲み過ぎることでしょう。
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