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● 大蒜(にんにく)酒
鱗茎と砂糖をホワイトリカーに漬け、半年寝かせて作るのが薬用酒「にんにく酒」ですが、 これは日本酒で、それも即席です。湯飲みの熱燗に、生にんにくをたっぷり摺りおろして入れます。 これで、出来あがりです。飲んだらすぐ寝ます。風邪のひき始めなら、この一杯で治ります。 以外に臭みは少ないですが、気になるなら蜂蜜を加えても良いです。
● 雉(きじ)酒
雉肉を炙り器に入れ、熱燗を注ぎます。抱き身(胸肉)の塩焼きが、
最良とされます。
この雉酒、古くから元日の供御に用いられてきました。
雉は日本の国鳥、今も宮中の新年を祝うハレ(晴)の膳に出される由緒正しい、
めでたい酒なのです。
雉は狩猟シーズンの今なら手に入りますが、難しい場合は山鳥や養殖の鴨でも
代用できます。間鴨で楽しむ時は、薄く切った一口大の肉に軽く塩を振ってから
やきます。
焼き立てを大ぶりの杯に…。肉の旨みが滲み、脂が浮いたところを
クイッとやります。
● 蟹(かに)酒
これは旨いです。茹でた蟹の甲羅を外し、蟹ミソのたっぷりついた甲羅に
熱燗を満たし、しばらく待ちます。
甲羅そのものが杯であり、待つ間も惜しく、口からお迎え…になります。
甲羅はでこぼこしているし、縁が均一でないので、飲みにくく、唇の端から
こぼれますが、気になどしていられません。グビッと一口、拳で拭ってまた一口。
食卓用の小さなコンロがあれば、甲羅を燗鍋代わりにし、温まったらそのまま
飲むのも野趣があります。甲羅が焦げて、酒も香ばしくなります。
どうしても行儀が気になるご婦人は、蟹がびっしり抱いている卵を箸で取り出し、
大きめの杯に盛って熱燗を注いでも良いです。
甲羅はあまり大きすぎても小さすぎても具合が悪いですが、毛蟹、マツバガニなど
海の蟹でも、川蟹でも楽しめます。香箱(ズワイガニの雌)ならば言うことはないです。
● 具慈(ぐじ)酒
ぐず、ではないです。ぐじ、スズキの仲間のアマダイのことで、
関西ではこう呼ばれます。
この具慈を塩焼きにし、蓋付きのお椀に入れ、熱燗を注いで蓋をし、三分ほど
置きます。酒と塩と具慈の身、皮の旨みが一体となった濃艶な味わいになります。
くずぐずせずに、飲みましょう。
アマダイには白、赤、黄の三種類がありますが、具慈酒の滋味を
堪能するには白皮、つまり白ぐじに限るそうです。それにしても酒は、
旨みを引き出す神秘的な力を持っています。
日本海に浮かぶ飛島(酒田市)では、婚礼の翌朝、お頭付きの見事な
鯛の塩焼きを大鍋に入れ、たっぷりの酒を注いで温めて振る舞う習慣が
ありました。潮汁のように砕いた鯛の身と共に椀に盛り、豪快に飲むのです。
島の生活が便利になり、結婚式は自宅ではなくホテルで挙げるようになりますと、
こうしたおふるまいも廃れてしまいました。
● 鮑(あわび)酒
鮑の地獄焼き、生きている鮑を殻付きのまま直火で焼き、酒と
醤油をたらします。磯の香に鼻をピクピクさせ、フウフウいいながら
食べ、その一片を熱燗の杯に…。口中は極楽です。
酒の肴として珍重される鮑の腸、肝の塩辛を「としろ」と呼びますが、
これを少量、燗酒に入れて飲むのも一興です。「としろ」は、酒毒を消すといわれています。
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